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お知らせ

喘鳴症(ぜいめいしょう) 大村東彼地区家畜診療所 獣医師 伊賀﨑 大

2022.04.01

技術情報

肋骨骨折が原因で発症する喘鳴症についてお話します。
喘鳴とは呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどの音がすることで、気道が狭くなったときに出ます。折れた肋骨が修復するときに団子状の骨の塊が形成され、その骨の塊の圧迫によって気道が狭くなります。
治療法ですが、根本的には気道の圧迫を取り除きます。時間はかかりますが、体が大きくなるにつれて胸も深くなり気道の圧迫がなくなる場合があります。または、邪魔をしている骨の塊を手術で除去することもあります。圧迫が取れるので手術後は短期間で喘鳴音が聞こえなくなります。しかし、除去した骨が修復し再発したり、大掛かりな手術になるため術中に死亡してしまうリスクもあります。
喘鳴症を引き起こす肋骨骨折は多くが分娩時に起こり、産歴が浅い母牛で尾位(逆子:後ろ足から)の場合がほとんどです。診断の際にはお産の情報が重要になります。また、喘鳴音がし出すのは、生後1カ月頃からです。「産歴」や「頭から」、「お尻から」、「けん引したかどうか」といった情報が必要になるため、記録があると早期診断につながります。
予防策としては、産歴が浅い牛には種を選び、母牛の体格に合わせて種付けを行い、お産時にけん引する場合には優しく介助するよう気を付けましょう。

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