「牛の寄生虫駆除について」本所 家畜診療統括課 獣医師 児嶋 秀典
2024.12.18
診療所情報線虫は牛の消化管に寄生し下痢や栄養の横取りによる削痩、突然死(ぽっくり病)、繁殖成績の低下などを引き起こします。
この線虫症の予防のため、背中に薬(イベルメクチン)を塗布する駆虫方法はすっかりお馴染みになってきました。
昨年の夏、筆者が所属している「牛臨床寄生虫研究会」で全国疫学調査を実施しました。長崎県では平戸、五島キャトルセンターに搬入された子牛50頭、県南家畜市場から購入した素牛11頭、計61頭を対象に調査しましたのでその結果をご紹介します。
調査年 | 施設 | 調査頭数 | 虫卵陽性 | 陽性率 |
2024 | 平戸キャトルセンター | 30頭 | 7頭 | 23% |
五島キャトルセンター | 20頭 | 0頭 | 0% | |
県南家畜市場導入牛 | 11頭 | 1頭 | 9% | |
1998 | 県内6市場 | 66頭 | 44頭 | 67% |
※検査 食環境衛生研究所
結果を見ておわかりのとおり26年前に比べ大変低い陽性率となり農家さんの駆虫への意識の高まりを反映した結果となりました。
イベルメクチンは消化管内線虫駆虫だけでなくシラミやダニなどの外部寄生虫にも効果があります。
今後も定期的な駆虫を心がけてください。